
この本について
仕事でも家庭でも、誰かの期待や「こうあるべき」に押しつぶされそうになるときがありますよね。出世競争の空気に合わせられない自分とか、妊娠・出産をめぐる周囲の温度差とか、比べたくないのに他人と比べてしまう心とか。頭では分かってるつもりでも、気持ちが追いつかない瞬間ってけっこうあると思います。 『グレタ・ニンプ』は、そういう“どうしようもない揺れ”を、奇抜なユーモアと容赦ないリアルさで描いてきます。たとえば、会社で「卑怯な人ほど出世していく」光景を見てしまったときのやりきれなさ。あるいは、不妊治療や妊娠の過程で、失うものばかり多い気がして、自分だけ取り残されていくような感覚。そして、誰にも言えない自己嫌悪や、人目を気にしてしまう癖に気づいて、余計に落ち込むあの感じ。読んでいて胸がざわつくのに、どこかで「分かるよな…」と息が漏れます。 でもこの作品は、ただしんどさを並べるだけの小説ではありません。登場人物が、ときにズレた怒りをぶつけながらも、自分の弱さを認めていくところに、少しずつ視点が変わる瞬間があります。植物の成長に救われるシーンとか、古い価値観に縛られながらも「強い自分になりたかった」とこぼす場面とか。完璧じゃなくていい、悩みながらでも前に進むことはできる、という空気がじわっと残るんです。 「正しさよりも、自分の本音を取り戻したい人」に刺さる一冊だと思います。僕自身、読んでいて他人事にできない場面が多すぎて、ページを閉じても考え続けてしまいました。
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