
インストール (河出文庫)
綿矢りさ
河出書房新社 / 2005-10-20
この本について
人と同じ毎日を送っていると、ふと「このまま小さくまとまっていくんだろうか」と不安になることがありますよね。特別な才能があるわけでもなく、でも何かにはなりたい気がして、結局その正体もつかめないまま、ただ疲れていく感じ。私自身、こういうモヤモヤが抜けない時期が長かったので、読者が今回の抜粋を保存した理由がすごく分かるんです。 『インストール』の面白さは、主人公の迷走や自意識が妙にリアルで、しかもその滑稽さすらまっすぐ描いてくれるところです。自分を特別だと思いたい気持ちと、内心その根拠のなさに薄々気づいている感じ。努力もしてないのに焦りだけはある感じ。ああいう心のざらつきを、誤魔化さないまま物語にしてくれているので、読んでいると自分のモヤモヤの輪郭が逆にくっきり見えてきます。 特に刺さるのは、主人公がときどき開き直ったり、極端な方向に逃げたりしながら、それでもどこかで「こんなはずじゃない」と思っている部分です。明日の予定がなくなった瞬間に自由を感じるけれど、そこに安心しきれない感じとか、努力してる“風”の生活にすがってしまう弱さとか。自意識の雑味をそのまま抱えて生きている読者ほど、妙に胸にくると思います。 何者にもなれない気がしている人、あるいは「自分の特別さ」をめぐる悩みに疲れた人には、じわっと効く一冊です。主人公の迷いやズレ方に、自分の影がちらっと見える瞬間があって、そこから少し気持ちが軽くなる。大きな答えは提示されないけれど、「こういう自分でもまあ生きてるな」と思える余白が残る物語です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第2章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの50%が集中しています。
読書の順序
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