
この本について
人間関係がうまく回らなかったり、誰かに頼りたいのに言葉にできなかったり、そもそも「自分はここにいていいのか」と不安になる瞬間ってありますよね。強さとか正しさよりも、ただ居場所がないことのしんどさが勝つときがあります。そんなときに思い出したのが『疾走(下)』でした。 読者が保存していた「誰か一緒に生きてください」という一文、あれ、綺麗ごとじゃなくて、追い詰められた人の本音そのままです。弱さを抱えたまま世界に手を伸ばす姿が、他人事じゃなく響いてきます。また、「弱くて愚かで優しい人は最悪だ」という言葉も、残酷だけど妙にリアルで、自分や身近な人の姿と重なるんですよね。正しさで切り捨てられない関係の面倒くささまで含めて描かれていて、読んでいて苦しくも救われました。 なにかを取り返そうとして無茶をする場面や、名前を呼ばれるだけで立ち止まってしまう瞬間も、この物語では大げさに扱われません。だからこそ、日常の延長にある痛みとして読めるし、「人はこういうときに壊れたり、踏ん張ったりするんだな」と少しだけ視点が変わります。物語としての強さよりも、生きていく上での現実味のある重さが残る本です。 自分の弱さを嫌いきれずにいる人や、「逃げた過去」とどう向き合えばいいのか迷っている人には、とても静かに効く一冊だと思います。
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