
おくのほそ道(全) ビギナーズ・クラシックス 日本の古典 (角川ソフィア文庫)
角川書店
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star総合評価 41/100
boltライト読書型
この本について
仕事でも日常でも、少し立ち止まっただけで「自分だけ遅れている気がする」みたいな焦りが出ることがあります。何かしないといけないのに、どこへ向かえばいいのかまでは見えてこない。そんなときに古典なんて…と思うかもしれませんが、『おくのほそ道』を読むと、急がずに前へ進む感覚を取り戻せる瞬間がありました。 印象的だったのは、芭蕉が弟子の曾良をあくまで“仲間”として扱っている姿勢です。誰かを引っぱるでも寄りかかるでもなく、同じ道を歩く者として並ぶ。その距離感が、今の仕事の人間関係にもそのまま響きました。また、芭蕉は書斎にこもらず、旅という時間そのものに身を投じて句をつくっていきます。頭で考え込むより、まず景色の中に身を置いてみるほうが道が開ける、というあの感じに少し救われました。 そして個人的にいちばん効いたのは、「さびしさや」と「閑かさや」の違いです。自分の内側だけに沈むのではなく、風景に自分を溶かしていくような静けさ。松島や日光の描写に触れていると、視点がふっと広がり、自分の悩みの輪郭がやわらかくなるのを感じました。行動するでも逃げるでもなく、ただ場所を変えて呼吸をし直すことの価値を思い出させてくれます。 日々のモヤモヤを抱えたまま、それでも前に進もうとしている人にこそ静かに沁みる一冊だと思います。
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