
ニッポンの思想 (講談社現代新書)
佐々木敦
筑摩書房 / 20231211
この本について
日々ニュースを見ていて、「なんであの人だけああなったんだろう」とか、「社会って誰が動かしているのかわからないのに、なぜか自分も巻き込まれている感じがする」といった、説明しきれないモヤモヤが出てくることがあります。個人の問題に見えて、実は社会の問題なんじゃないか。でもどう考えればいいのかがよくわからない。自分もずっとそこで足踏みしていました。 『ニッポンの思想』は、そのモヤモヤをいきなり解決してくれる本ではありませんが、考えるための「視点」を何段階かずらしてくれる一冊でした。たとえば「なぜ宮崎勤だけがそうなったのか」という問いが、自分の内面ではなく“他者”や“社会”の側から立ち上がってくる感覚。あるいは、監督のいない「第三の教室」のように、環境そのものが監視の役割を持ってしまう現代の捉え方。どれも、自分が普段つい個人単位だけで判断してしまう癖を、そっと外してくれるところがあります。 さらに本書は、ポストモダンや脱構築といった難しそうに見える概念を、別世界へ逃げるためではなく、「今ここ」の現実をどう多層的に読み直すかという方向で扱っています。これは、自分が悩んでいる問題を、無理にポジティブに塗り替えるのではなく、別の角度から再発見していく作業に近いので、変に力まず読めました。 「世界の捉え方にもう一段深さがほしいけど、抽象論だけではついていけない」という人にはとても刺さると思います。自分にとっては、現実の厚みを取り戻すための“読み替えの練習”みたいな本でした。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第4章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの29%が集中しています。
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