
もうすぐ絶滅するという紙の書物について
ウンベルト・ エーコ, ジャン=クロード・ カリエール, and 工藤 妙子
CEメディアハウス / 2010-12-17
この本について
最近、情報に追われている感じが抜けなくて、気づいたら「今いる時間」にうまく着地できていないことがありませんか。調べても調べても足りない気がするし、未来に備えようとすると現在がどんどん薄くなる。自分もよくこういう迷子みたいな感覚になります。 この本は、そんな不安を直接解決してくれるタイプではないのですが、視点の位置を少しずらしてくれます。たとえば、技術が便利になるほど手間は増えるという指摘に触れると、「追いつけない自分が悪い」という思い込みがほどけて、変化のスピードそのものを疑う余裕が出てきます。あるいは、記憶とは取捨選択の営みだという話を読むと、全部を覚えようとする前提自体がずれていたと気づく。過去・現在・未来のバランスが揺らいでいる時代だからこそ、紙の書物という“ゆっくり考えるための場所”の意味が浮かび上がってきます。 読みながら、自分が抱えていた焦りが「個人の問題」ではなく「時代の条件」によって作られている部分も大きいんだなと思えてくるはずです。だからこそ、この本は劇的に効くというより、じわっと視界を整えてくれる一冊です。特に、情報の流れに飲まれやすい人や、学び続けなければという圧に疲れている人にはしっくりくると思います。 紙の本が残ってきた理由をめぐる対話を読み終える頃には、いま手元にある一冊をゆっくり読むこと自体が、ある種の静かな反抗なんだと感じられるかもしれません。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第3章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの33%が集中しています。
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