
漢文の素養~誰が日本文化をつくったのか?~ (光文社新書)
加藤 徹
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推定読了時間 約5時間2分
star総合評価 53/100
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この本について
ふと「自分の使っている日本語って、どこまで自分のものなんだろう」と不安になることがあります。文化とかアイデンティティの話になると急に足元がぐらつく感じがして、結局いつも曖昧な理解のまま流してしまう。そんなモヤモヤを放置してきた人ほど、この本はしっかり噛み応えがあると思いました。 読んでいてまず驚いたのは、日本人が漢字や漢文をどう受け取ってきたかが、こんなに揺れ動いていたという事実です。呉音と漢音の派閥争いなんて、完全に現代の学閥ネタと地続き。外来の仏陀を「ホトケ」という日本語に変換して受け入れた感覚も、単なる歴史の話じゃなくて、僕らの言葉の奥にずっと残っている態度なんだと気づかされます。色の呼び分けの話なんて特に象徴的で、和語ではざっくりした世界が、漢語によって細かく輪郭づけられていく感じが妙にリアルでした。 もうひとつ印象に残ったのは、古代の日本が「文字をあえて取り入れなかったかもしれない」という視点です。言霊思想が理由だったという説明は、迷信と片付けるよりも、人が言葉に本気で力を見ていた時代の空気として読むと腹に落ちる。僕らがいま、言葉をどう扱うか迷うときのルーツがここにある気がしました。 日本文化の“源流”に興味はあるけれど、専門書の理屈っぽさはしんどい、そんな人に向いている本です。歴史を知るというより、自分の中の日本語の感覚をいったん外から眺め直すような体験ができます。
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出版社による紹介
かつて漢文は、東アジアのエスペラントであり、日本人の教養の大動脈であった。古代からの日本の歴史を「漢字」「漢文」からひもとくことで、日本人が何を思い、どんな試みの果てに、この国が築かれてきたのかが明らかになってくる。日本人にとってまだ漢文が身近だったころ、漢文の力は政治・外交にどのように利用されたのか?彼らは、漢文にどんな知性や思いを込めたのか?―日本の発展の原動力となり、その文化・政治力を支えた「漢文の素養」をもう一度見直し、日本文化の豊かな可能性を提言する。
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