
プラトン入門 (ちくま新書)
竹田青嗣
筑摩書房 / 20150610
この本について
仕事でも日常でも、人と考えが食い違ったときに「結局、何が正しいんだろう」と立ち止まってしまうことがあります。自分の感じ方と相手の感じ方、どちらもそれなりに理由があるように見えて、判断の軸がぐらつくあの感じです。そんなとき、認識の土台そのものを問い直すような視点があると、少し落ち着きます。 『プラトン入門』は、まさにその「土台の揺らぎ」に向き合うタイプの本でした。引用にもあるように、プラトンが扱っているのは「主観と客観のズレをどう埋めるのか」「そもそも人はなぜ“原因”を求めるのか」といった、今でも形を変えて私たちを悩ませるテーマです。読んでいて面白かったのは、プラトンが直接答えを提示するというより、問いの立て方そのものを一段深いところに移し替えてくれる点でした。原因を探す前に「なぜ原因を求めるのか」に戻される感覚は、判断が詰まった頭に風が通るようでした。 もう一つ印象に残ったのは、人が「美」や「善」に惹かれる理由を、単なる精神論ではなく、人間の根源的な欲望として説明していくところです。恋愛の例まで使って「魂が何を求めて動くのか」を描き直すくだりは、抽象的な議論なのに妙に日常に引き寄せられました。自分が「これは大事だ」と感じる瞬間の裏に、どんな構造があるのかを考えるきっかけになります。 自分の考えの足場が曖昧に感じる人、あるいは「価値観の違い」という言葉で片づけきれないモヤモヤを抱えている人には静かに刺さる本だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの19%が集中しています。
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