
人間の未来 ――ヘーゲル哲学と現代資本主義 (ちくま新書)
竹田青嗣
この本について
最近、ニュースを見てもSNSを眺めても、「社会ってどこに向かうんだろう」とぼんやり不安になることが増えました。格差の話も、国家の役割も、資本主義の限界も語られるけれど、結局なにを手がかりに考えればいいのか分からないまま終わってしまう。そういうモヤモヤを抱えたまま日常に戻る、ということが自分にもよくあります。 竹田青嗣さんの『人間の未来』は、そういう宙ぶらりんな感覚に、一度「立ち返る場所」を与えてくれる本でした。著者は、今の思想が社会を批判し尽くしながら具体的な原理を提示できなかったことを認めたうえで、ホッブズ、ルソー、ヘーゲル、マルクスといった近代の出発点に戻って、“そもそも人間社会はどう成り立つのか”を組み直していきます。格差や国家の役割をめぐる議論も、資本主義の偏った配分構造も、表面的な善悪ではなく「人間の不信の構造」や「自由の相互承認」という軸から見直していくと、いま自分が抱えている不安がどこにつながっているのかが少し見えてくる感じがありました。 個人的にいちばん効いたのは、国家を“抑圧か自由か”という単純な対立で見るのではなく、「普遍闘争状態をどう抑えるか」という現実的な問題として捉え直す視点です。いまの資本主義を持続可能なものにできるかどうかという問いも、制度の欠陥探しではなく「どんな条件なら調和が成り立つのか」という地に足のついた考え方に変わりました。 社会の変化に置いていかれている気がする人や、政治や経済をめぐる議論にうっすら疲れている人に、とても静かに刺さる本だと思います。
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