
「自分」の壁(新潮新書) (「壁」シリーズ)
養老孟司
新潮社 / 2014-06-14
この本について
最近、「意見が分かれる話題になるとすぐ空気が重くなる」とか、「社会の議論ってなんでこんなにかみ合わないんだろう」と感じることが増えていませんか。僕自身、仕事でも日常でも、白黒つけたがる空気に疲れてしまうことがあります。そんなときに読み返したのが、養老孟司さんの「自分」の壁でした。 この本の面白さは、難しい社会問題を語りながら、結局は「自分って何なのか」という足元の感覚まで話が降りてくるところです。たとえば、賛成か反対かの二項対立になると議論が止まる、という指摘は、職場の会議でもそのまま当てはまります。白黒よりも、「何をどこまで許容できるか」という視点に切り替えるだけで話が進むことは多いし、僕自身そのほうが気持ちも楽です。また、「自分とは現在地を示す矢印に過ぎない」という感覚は、肩に力が入りすぎていたときほど効きます。個性を立てろと言われ続けた世代こそ、こういう視点が救いになると思います。 さらに、養老さんはずっと「新しい他人とどう付き合うか」という日本社会の課題を見続けています。これは職場の異動やチーム編成みたいな身近な場でも同じで、相手を排除せずにどう折り合うか、という視点を持っていると衝突が減る。読んでいて、自分が無意識に抱えていた窮屈さの原因が少し見えた気がしました。 社会の話が続くのに、不思議と日常の息苦しさに直接効いてくる本です。こんな人に刺さると思います。白黒つけないと不安になる一方で、それに疲れも感じている人。僕と同じように、迷いながら生きている人なら、何かしらの手がかりになるはずです。
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