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ダブリン市民

ダブリン市民

ジェイムズ・ジョイス and 安藤一郎

Shelf Indulgence / 2025-12-24

累計読者数3
平均ハイライト数 8件/人
推定読了時間 約2時間31分
star総合評価 55/100
trending_up後半加速型
check_circle推定完走率 90%

この本について

仕事でも人間関係でも、「自分の立っている場所がどこなのか、よくわからなくなる瞬間」ってありますよね。まわりの期待に合わせてしゃべっているだけのような気がしたり、誰かの言葉に急に心をつかまれたり、自分の願いと現実の距離にふと冷めてしまったり。そういう揺れの最中にいるとき、言葉で説明しづらい感情ほど、じわっと居座ってきます。 ジョイスの『ダブリン市民』は、その“言語化のむずかしい揺れ”を、静かで容赦のない筆致でつかまえてくれます。読者が抜き出した場面の多くは、ゲイブリェルが自分のアイデンティティに向き合う瞬間や、妻の中にある「自分の知らない過去」に触れたときのあのしずかな動揺でした。国語を問われてしどろもどろになる場面なんて、立場や役割でごまかしてきた人ほど思い当たるところがあるはずですし、最後の雪が降りつもる描写は、他者の人生と死が自分に重なってくるあの独特の感覚を思い出させます。 特別な解決策を教えてはくれませんが、自分のなかの混ざり合った感情を「これは確かに存在していいものだった」と受け止める余白をくれる本です。誰かの思い出に触れて動揺してしまうときも、劣等感でひそかに胸がざらつくときも、そこで立ち止まる感性そのものを否定しなくてよくなる。そんな読み心地でした。 自分の迷いをまっすぐ見つめたい人に刺さると思います。

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書籍情報(出版社紹介・目次)expand_more

出版社による紹介

現代文学で最も重要な作品の1つである『ダブリン市民』は、20世紀初頭のダブリンの日常生活を希少で深く人間的な誠実さで描いた力強い短編集です。 十五の連作短編を通じて、ジェイムズ・ジョイスは子供や若者、普通の男女を追います——彼らは習慣や社会的期待、内なる欲求不満、突如訪れる啓示の瞬間に縛られています。各物語には「エピファニー」と呼ばれる静かな明晰の瞬間があり、隠された願望や深い恐れ、街全体に広がる感情の麻痺を浮き彫りにします。 正確で繊細な文体によって、ジョイスは一見単純な場面を人間の存在の普遍的な肖像へと変え、アイデンティティ、宗教、家族、愛、野心、失望といったテーマを掘り下げています。
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