
人間はどこまで耐えられるのか (河出文庫)
フランセス・アッシュクロフト and 矢羽野薫
河出書房新社 / 2008-05-12
この本について
日常のなかで、自分がどれくらい「無自覚に無茶をしている」のか、ふと不安になることがあります。飛行機に乗るときの耳の圧や、冬に薄着で外に出たときのあの寒さ。どこまでが大丈夫で、どこからが危険なのか、実はよくわからないまま過ごしている人は多いと思います。僕もその一人でした。 『人間はどこまで耐えられるのか』は、そういう曖昧な不安に現実的な輪郭を与えてくれました。たとえば、肺の中では水蒸気がどれだけ場所を占めているかとか、高度一万四千メートルで窓が吹き飛ぶと何が起こるのかといった“体の側の事情”が、とても具体的に描かれています。読むほどに、普段なんとなくやり過ごしてきた環境の変化に対して、自分の限界をちゃんと理解しようという気持ちが芽生えてきました。エベレスト山頂付近が人間の生存限界とほぼ一致しているという話も、妙に腹に落ちる現実味があります。 個人的には、「気づかないうちに危険に近づいてしまうシーン」が次々に挙げられることで、身の守り方のリアルな感覚がつかめたのが大きかったです。スキューバや登山のような特別な場面だけでなく、ただ寒い日に外で立ち話をしているだけでも、条件が揃えば危ない。それを知ることで、逆に余計な不安は減り、判断がしやすくなりました。 自分の体の“仕様”をもう少し丁寧に理解したい人、あるいは日常のリスク感覚をアップデートしたい人には、静かに刺さる一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの33%が集中しています。
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