
すべての組織は変えられる 好調な企業はなぜ「ヒト」に投資するのか PHPビジネス新書
麻野 耕司
PHP研究所 / 201509
この本について
組織の空気が重くなる瞬間って、具体的な理由は言語化できないのに、なぜか全員がそっちに引っ張られていくことがあります。自分はそんなつもりじゃないのに、チーム全体がネガティブ寄りに傾くと、気づけば自分まで同じトーンになっていたりして、後から「なんでだろう」と考え込んでしまう。リーダー側にいるときは逆に、「言っていることが全然伝わっていない」「モチベーションの差が埋まらない」という壁にぶつかりがちです。 この本が面白いのは、そうした“なんとなくの違和感”に、かなり具体的なメスを入れてくれるところです。例えば、ネガティブが三割を超えると空気が一気にそっちへ流れるという話は、自分の職場の場面と重ねると「ああ、あのときこれだったのか」と腑に落ちる。さらに、人のモチベーションを四つのタイプで捉える視点を知ると、「自分と同じように感じているはず」という思い込みがいかに危ないかがよくわかります。問題を隠す文化から共有する文化へ変わると、場全体の重さがするっと抜ける感覚も、実体験に引き寄せて読めました。 組織を変えるなんて大げさに聞こえるかもしれないけれど、著者が繰り返し言うのは、小さな行動の積み重ねが空気を変えるという現実的な話です。相互不信をほどくための「共感を示す」といった一歩や、会議を“情報共有”から“問題解決”に変える視点。どれもやろうと思えば明日から試せるものばかりで、読みながら「この一個なら自分でもできそう」と思えるのが救いでした。 自分以外の人がなぜ動かないのか、どうすれば前に進めるのかに迷っている人にほど刺さる一冊です。
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