
ベンヤミン・アンソロジー (河出文庫)
ヴァルター・ベンヤミン and 山口裕之
河出書房新社 / 2011-01-05
この本について
最近、「自分が信じているルールって、どこまでが本当に自分の考えなのか」と考え込むことが増えました。仕事でも日常でも、目の前の制度や言葉に従って動いているだけなのに、どこかで違和感が残る。かといって、大げさに批判したいわけでもない。ただ、その仕組みの“奥”を見落としている気がする。そんなときに、この『ベンヤミン・アンソロジー』が少しだけ視界を広げてくれました。 たとえば、契約がどれほど平和的に見えても、最終的には必ず暴力の可能性を背負っている、という指摘。これは職場の合意形成や「お互い納得したことにしておこう」という場面を思い返すと妙に実感があります。妥協の根に「こうでなければもっとよかったはず」という感情が残る理由も、その視点で説明がつく。自分のモヤモヤが個人の弱さではなく、構造に由来するものなのだとわかるだけで、少し呼吸がしやすくなりました。 もう一つ効いたのは、翻訳や言語についての考え方です。同じ“パン”を指していても、言語ごとに意図の仕方が違うという話は、人間同士の対話にもそのまま重なるように感じました。相手と自分が同じ言葉を使っていても、見えている世界は一致していない。その前提に立つと、不毛な衝突が少し減る気がします。 制度や言語の「当たり前」を一度ほぐしてみたい人に向いている本です。読んで楽になるというより、いま感じている違和感の位置を少しだけ正確に示してくれる、そんな存在でした。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第2章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの35%が集中しています。
読書の順序
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