
数学する身体(新潮文庫)
森田真生
ミシマ社 / 20190320
累計読者数29
平均ハイライト数 9件/人
推定読了時間 約2時間43分
star総合評価 55/100
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この本について
忙しい日でも、頭の中だけで考えごとを続けていると、だんだん視野が狭くなっていく感じがしませんか。机に向かっているのに答えが出ず、散歩に出た瞬間ふと腑に落ちる、みたいなあの現象。自分でも説明しにくいけれど、「考えるってなんなんだろう」と立ち止まってしまう人は多いと思います。 『数学する身体』は、そんなモヤモヤに少し風を通してくれる本でした。思考と行為がきっぱり分かれているわけではなく、身体の動きがそのまま思考の一部になっている、という視点を丁寧に描いてくれます。数学の話が中心にありつつも、抽象や形式だけで世界を理解しようとするやり方に限界を感じたとき、「身体に戻る」という選択肢がどれだけ豊かなものかを思い出させてくれるんです。岡潔の「上空移行」の話も、理屈を積み上げるだけではなく、次元をひとつ飛び越えてみるような大胆さが、人間の思考には確かにあるよな、と背中を押されました。 読みながら、自分も数字を扱うときに自然と空間のイメージに寄りかかっていることに気づいたり、心が脳の中だけにあるわけではないという考えに、妙なリアリティを感じました。理屈に詰まったときほど、身体や環境に頼ることを忘れていたなと反省もします。 「考えることに行き詰まったとき、別の入口がほしい人」にとくに刺さる本だと思います。抽象の世界を扱いながら、私たちの現実の感覚に静かに寄り添ってくれる一冊でした。
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出版社による紹介
いま(present)、この儚さとこの豊かさ。
独立研究者として、子の親として、一人の人間として
ひとつの生命体が渾身で放った、清冽なる19篇。著者初の随筆集。
目の前の何気ない事物を、あることもないこともできた偶然として発見するとき、人は驚きとともに「ありがたい」と感じる。「いま(present)」が、あるがままで「贈り物(present)」だと実感するのは、このような瞬間である。――本書より
『数学する身体』(新潮社、第15回小林秀雄賞受賞)の著者による待望の2冊目がここに誕生――。
目次
――偶然の贈り物
I
捨身
風鈴
身軽
白紙
不一不二
II
君が動くたび
意味
まっすぐ
切断
reason
情緒
III
変身
いまいる場所で
胡蝶
かぞえる
IV
パリ
母語
探求
現在
――あとがき
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