
知性の磨き方 (SB新書)
齋藤 孝
SBクリエイティブ / 2017-01-05
この本について
仕事で判断に迷ったり、人間関係で妙に傷つきやすくなったり、「自分の考えってどこまで信じていいんだろう」と立ち止まることが増えている人は多いと思います。僕も同じで、頭では整理しているつもりなのに、実際の行動や気持ちがついてこない時期が続きました。そんなときに読んだのが『知性の磨き方』でした。 この本は、いわゆる“頭の良さ”ではなく、もう少し地に足のついた「立て直すための知性」を扱っています。読者が保存していた部分にもあるように、著者は知性を「流されない拠点」や「生命力を汲み上げる泉」と表現します。読んでいて印象的だったのは、知性とは単なる分析力ではなく、混乱に飲まれないための“肚づくり”にも近いという視点です。禅や身体性の話が続いたかと思えば、ヒトラーを例に出して空気に流される危うさまで触れてくる。抽象論に流れず、現実の人間の弱さまで含めて語るところが頼りになります。 読んでいくと、自分の悩みの射程が狭くなっていたことにも気づかされます。漱石の悩みの対象が他者や社会だったという話は、そのまま自分の視野チェックになるし、「予測してから言葉を放つ」ような地味な習慣こそ知性だという指摘も、明日から試せる現実的な話です。そして、直感や情を抜きにしたロジック偏重の働き方が、かえって自分を弱くしているかもしれないという気づきもありました。 一言でいえば、「思考だけが先走ってしんどくなっている人」に向く一冊です。知性を積み増すというより、自分のどこが痩せていたのかをそっと教えてくれる本でした。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの16%が集中しています。
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