
ナイルパーチの女子会 (文春文庫)
柚木 麻子
文藝春秋 / 2018-02-09
この本について
仕事でも生活でも、人との距離の取り方がよく分からなくなる時があります。相手の気持ちを知りたいのに、踏み込みすぎていないか不安になったり、逆に、誰かの言葉に必要以上に揺らされたり。私自身、SNSを眺めているだけのつもりが、いつの間にか相手の生活を“読めてしまう”感じにゾワッとしたことがあります。 『ナイルパーチの女子会』を読むと、そのモヤモヤの正体が、少し輪郭を持って浮かび上がってきます。たとえば、日常の風景に余計な奥行きを見てしまう感覚。自分の行動が常に何かの成果につながってほしいと思い込んでしまう癖。そして、優しい言葉に浸っていたはずなのに、気づけば引き返すタイミングを見失うあのぬるま湯。どれも明確な“答え”をくれるわけではないのですが、登場人物たちの揺れを追いかけているうちに、自分の中の焦りや執着の温度が少し下がっていきます。 特に刺さったのは、他人との距離のズレに気づいた瞬間です。読み手としては「それぐらい良くない?」と思う行動が、相手から見たら全く違う意味を持つかもしれない。でも、それを“悪いこと”として断罪しきれないまま、登場人物たちは葛藤し続けます。その揺らぎが、自分のしんどさと地続きで、とてもリアルなんです。 他人に振り回されるのがつらいけれど、孤独にも耐えられない。そんな人には特にしみます。読むというより、誰かの心の動きを横で見守りながら、自分のペースに戻していけるような一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの25%が集中しています。
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