
新版 障害者の経済学
中島 隆信
この本について
障害者雇用の話題って、関心はあるのにどこか距離を置いてしまうこと、ありませんか。善意で関わろうとしても「これって差別と言われないか」と身構えてしまったり、制度を調べても複雑すぎて結局よく分からないまま終わったり。自分もそうで、どこにモヤモヤを置けばいいのかずっと分かりませんでした。 この本が効いたのは、感情論でも理想論でもなく、「社会の仕組み」として障害者問題を見直す視点をもらえたところです。たとえば、法定雇用率のために“無駄な仕事”を作る状態は、企業にも本人にも不幸でしかないという指摘。これは現場で働く人なら誰でも思い当たるはずのリアルだし、制度の歪みがどう人を追い込むのかが腑に落ちます。また、差別を善悪で語らず、配慮のコストを社会全体でどう下げるかという構造の問題として捉えていく姿勢は、自分が普段見ていた景色を変えてくれました。さらには、障害を“特殊な問題”として遠ざけるほど、社会全体の生きづらさが放置されるという話も、今の時代に強く響きました。 特定の立場の人だけに向けた本ではなく、「弱者をつくらない社会って何だろう」と一度でも考えたことがある人なら刺さると思います。読んでいて気持ちが軽くなるような本ではないですが、現実をどう整理し、どこから手をつければいいのかを考えるための土台には確実になります。自分と同じように“正しさ”の扱いに迷っている人におすすめです。
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