
企業に何十億ドルものバリュエーションが付く理由 ──企業価値評価における定性分析と定量分析
アスワス・ダモダラン
この本について
投資や事業の判断をしていると、「結局データってどこまで信じていいのか」とか、「ストーリー重視の議論は雰囲気だけで怖い」といったモヤモヤがどうしても残ります。特に成長株や新規事業だと、過去データがそのまま未来に使えない瞬間にぶつかって、数字と直感のどちらにも自信が持てなくなるんですよね。僕もそこでよく足が止まります。 この本が面白いのは、ストーリーと数字を対立させず、両方を“現実とつなぐ道具”として扱っているところです。たとえば、ストーリーは可能か、もっともらしいか、確からしいかという3段階で現実と照らすし、数字はスプレッドシートの正確さを競うものではなく、あくまでそのストーリーがどんな前提で成立するのかを見える化するためのものとして位置づけられる。成長株投資が“価値の正確な算出”ではなく、“他者がどう見ているかを読み解くゲーム”に近いという視点も、個人的にはかなり腑に落ちました。 読みながら、「ああ、データは過去で、未来を語るにはストーリーが要る。でもストーリーだけでは現実に触れられない」という、普段の葛藤そのものが整理されていく感じがあります。企業が大きくなるほど成長率が下がる前提の置き方や、キャッシュフローをどう分解して考えるかなど、行動に落とせるパートが多いのも良いところです。 特に、数字に寄りかかりすぎている実務家や、逆にストーリーに振れすぎて自分でも不安を感じている人には静かに刺さるはずです。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの41%が集中しています。
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