
異端の時代-正統のかたちを求めて (岩波新書)
森本 あんり
岩波書店 / 2018-08
この本について
最近、「結局“正しい”って何なんだろう」と考え込むことが増えていました。仕事でも日常でも、みんなそれぞれ意見がバラけていて、自分の立ち位置がふっと宙ぶらりんになる瞬間があります。多数派に乗るのも違うし、かといって自分だけの正しさを振りかざすのも違う気がする。そんなモヤモヤの底にあるのって、「正統」とか「異端」とか、言葉にしないまま前提にしているものなんですよね。 森本あんり『異端の時代』は、この“前提”を丁寧にほぐしてくれます。読んでまず響いたのは、正統は誰かが決めるものじゃなく、人びとの長い経験の堆積だという視点でした。自分が「空気」だと思っているものほど、実は強い力を持っている。これに気づくと、職場や社会の不文律が少し違って見えてきます。また、正統と異端が固定された二項対立ではなく、歴史の中で揺れ動く位置取りだと知ると、「どっち側に立つべきか」という焦りが減ってきます。選ばなきゃいけないように感じていたものが、実はもっと曖昧で、もっと大きな流れの中にある。 そして個人的に救われたのは、「みんな違ってみんないい」と言いつつ、本当は“正統をつくる努力”がない状態のしんどさが語られているところでした。正統が弱ると、社会も人も足元がぐらつく。その直感的な不安に理由がつく感じがします。 同じように「多数派と個のあいだで揺れる感覚がずっとある人」には、特に刺さる本だと思います。言葉にされていなかった地面が、静かに見えてくる一冊です。
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ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの31%が集中しています。
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