
濃霧の中の方向感覚
鷲田清一
晶文社 / 20190201
累計読者数3
平均ハイライト数 2件/人
推定読了時間 約7時間7分
star総合評価 28/100
boltライト読書型
check_circle推定完走率 21%
この本について
未来のことを考えると胸がざわつくけれど、かといって今すぐ答えなんて出せる気もしない。動きたいのに動けないまま、濃い靄の中を手探りで歩いているようなときってありますよね。僕も同じで、放っておくと「正解の形」を急いで探しに行ってしまうのですが、この本はその前の段階にそっと灯りを置いてくれる感じがしました。 印象的だったのは、答えが出ない状態にとどまるための「肺活量」という表現です。むやみに結論を急ぐのではなく、問題が増える感じすら抱えたまま立っていられる体力を養うこと。この視点に触れると、迷っている自分を少しだけ肯定できるようになります。それから、間違いをただの失敗として切り捨てず、方向感覚として持ち続けるという話も、まさに今の不透明さに必要な考え方だと思いました。失ったように感じるのに、実は何かを学んでいる。あの感覚に名前がついた気がします。 最後に、「暮らしのフォーマットを再点検する」という提案も現実的で腑に落ちました。壮大な人生論ではなく、何を手放し、何を残すかを自分の足元から考える。曖昧な時代にどう立ち続けるか、そのための姿勢をゆっくり整えてくれる一冊です。 立ち止まってばかりの自分に後ろめたさを感じている人に、静かに効いてくると思います。
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出版社による紹介
危機の時代、先の見えない時代において、ほんとうに必要とされ、ほんとうに信じられる知性・教養とはなにか? それは、視界の悪い濃霧の中でも道を見失わずにいられる「方向感覚」のこと。複雑性の増大に耐えうる知的体力をもち、迷ってもそこに根を下ろしなおすことのできるたしかな言葉と出会う。社会、政治、文化、教育、震災などの領域において、臨床哲学者がみずからの方向感覚を研ぎ澄ませながら綴った思索の記録。
目次
濃霧の中の方向感覚──まえがき
1 社会 Society
2 政治 Politics
3 文化 Culture
4 教育 Education
5 震災後のことば Literature After the Disaster
6 身辺雑記 Memories
対話の可能性──あとがきに代えて
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