
所有論
鷲田清一
講談社 / 2024-02-01
この本について
最近、「これは自分のものだと言える範囲ってどこまでなんだろう」とか、「自分の身体や時間まで“資源”として扱われている感じがして落ち着かない」といったモヤモヤを抱えている人、多い気がします。仕事でも生活でも、境界線の引き方がうまくつかめないというか、そもそも“所有”って何なのかを考える機会ってあまりないですよね。 鷲田清一さんの『所有論』は、その当たり前に思っていた「自分のもの」という感覚を、一度ほどいて考え直させてくれる本でした。たとえば、ownやoweの語源をたどりながら、“所有すること”と“誰かに借りがあること”が本来はつながっていたという指摘に触れると、私たちがふだん信じている「自分のものだから好きにしていい」という発想が、実はかなり特殊なものなんだと気づかされます。また、自分の身体すら交換可能なモノとして扱われる瞬間がある一方で、それでも身体は他者に開かれている存在でもあるという視点は、働き方や人との距離感を考えるときにじわじわ効いてきます。 読みながら、自分が「所有」という言葉にどれだけ無自覚に頼っていたかを思い知らされましたし、他者との関係をどう見直すかという問いにも自然と向き合わされました。ひとりの閉じた主体としてではなく、世界とのやり取りの中で“自分”が形づくられる感じが、少しだけ腑に落ちた気がします。 自分の在り方を「持つ/持たない」ではなく、「どう関わるか」で捉え直したい人にはすごく刺さる一冊だと思います。
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ハイライト密度
多くの読者は第4章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの16%が集中しています。
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