
人生に、上下も勝ち負けもありません 精神科医が教える老子の言葉
野村総一郎
文響社 / 201904
この本について
人に何かしてあげても返ってこないとき、自分だけ報われていない気がして落ち込むことがあります。がんばったのに結果がついてこなくて、自分の努力の価値まで疑ってしまうこともある。頭では「期待しすぎないほうがいい」と分かっていても、感情がついてこないんですよね。 この本は、そういう時に視点の置き場をそっと変えてくれます。たとえば「お天道様とは、あなた自身」という考え方。人にどう扱われるかより、自分がどう在れたかに目を向けるだけで、余計な消耗が少し減ります。あるいは「永久の未完成、これ完成である」という言葉。できていないところを直そうと必死になるより、ねじ曲がった部分を含めて今の自分を前提にしたほうが呼吸がしやすい。さらに「期待しすぎちゃったなぁ」と言えるようになると、結果に振り回されずにすみます。老子の言葉を精神科医が“医訳”してくれているので、哲学が苦手でも日常に落とし込みやすいところも助かりました。 競争の渦に飲まれやすい人ほど、この本のゆるい視点が効くと思います。「強くならなきゃ」「ちゃんとしなきゃ」と思うほど空回りする時期ってありますが、そんなときに老子の考え方は、景色を一段引きで見せてくれる感じがあります。ダイヤモンドでも石ころでも、どちらでもいい。そう思えるだけで、人と比べる癖が少しゆるむ。 人間関係や仕事で「どうしてこんなに疲れるんだろう」と感じている人にほど刺さる一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの23%が集中しています。
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