
現代思想2019年6月号 特集=加速主義――資本主義の疾走、未来への〈脱出〉
千葉 雅也, 河南 瑠莉, S・ブロイ, 仲山 ひふみ, and 木澤 佐登志
この本について
最近、SNSを眺めていると「進歩してるはずなのに、息苦しさは増してないか…?」というモヤモヤが消えません。技術が進んでも承認欲求のゲームは終わらないし、個人としてどう立っていけばいいのかはむしろ複雑になっている。そんな違和感に手がかりをくれたのが、この加速主義特集でした。 面白いのは、「テクノロジーが進む=人間が解放される」という単線的な話を正面から疑っているところです。資本主義があらゆる価値を流動化していく中でも、人はどうしても“居場所”のようなものを求めてしまう。その再領土化の衝動を切り捨てずに扱おうとする視点は、単に左か右かという話に回収されない現実感がありました。また、加速を「抵抗の対義語」と捉え、未来への出口を探ろうとする姿勢に、今の停滞感をどう突破するかという具体的な問いが見えてきます。 読みながら、自分がどれだけ旧来の価値観に無自覚に縛られていたかにも気づかされました。例えば「進歩とは何か」とか「主体って何を指すのか」といった土台そのものが揺れる。だからこそ、単純に希望をくれる本ではないけれど、思考の座標軸をひとつ増やしてくれる実感があります。 今の世界のスピードに置いていかれそうな人、あるいは逆にスピードを信じ切れない人に、静かに刺さると思います。
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