
神々の明治維新 神仏分離と廃仏毀釈 (岩波新書)
安丸 良夫
岩波書店 / 1979-11-20
この本について
仕事でも生活でも、なんとなく「自分の価値観ってどこから来たんだろう」と立ち止まる瞬間があると思います。年末年始になると当たり前のように神社へ行くし、仏壇の前にも座る。でも、その“当たり前”にうっすら違和感がある。そんなときにこの本を読んでみると、背後の歴史の厚みに少しだけ風が通ります。 読者の方が保存していた抜粋を見ていて感じたのは、「今の日本の宗教観が、明治の政策や権力構造の再編によって意図的につくられたものだ」という点に強く反応していることでした。神祇官の再興や寺院整理、民衆の習俗の抑圧など、突然の“価値観の編成替え”がどれほど日常に入り込んでいったのか。本書はそれを淡々と、しかし逃げ場のない具体性で示してきます。特に、御霊信仰や現世利益の祈祷がどう扱われ、やがて権力者自身の神格化へつながっていく流れは、今日の「なんとなく宗教と距離を置く空気」の源流を照らしてくれます。 読んでみると、私たちが無自覚に従っている習慣や不安の正体が、じつは近代化の中で形づくられた“過剰同調”に近いものなのでは、と考えさせられます。歴史を知ったからといって日々の迷いはすぐ消えませんが、自分の立っている地面がどう作られたかを知ると、少しだけ足元が安定する感覚がある。本書はそんな読み心地の一冊です。 自分の価値観の“起源”を静かにたどりたい人に刺さると思います。
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