
どうしても生きてる (幻冬舎単行本)
朝井リョウ
幻冬舎 / 2019-10-10
この本について
日々、人の言動にモヤっとしたり、SNSで誰かの最終投稿を見かけて立ち止まったり、自分の中の“健やかな論理”では説明しきれない瞬間ってありますよね。私もつい、正しい側に立って安心したい気持ちと、そんな自分をどこかで疑っている気持ちのあいだを行ったり来たりしています。 『どうしても生きてる』は、その揺れをまっすぐ見つめる物語でした。たとえば「満たされている側の人間だから攻撃しない」という安心感が、知らないうちに他者との壁を積み上げているという指摘は、胸の奥がざわつくようなリアルさがあります。正しさに寄りかかって立っているときほど、誰かと分断をつくってしまう。その構造を言語化してくれるだけで、自分の行動を一度立ち止まって見直せる感じがありました。 そして、なんでもない投稿を最後に更新が止まったアカウントに感じる、断面をのぞき込んでしまったようなあの感覚。代替不可能な命が消えたあとも世界が回り続けるという矛盾と、自分も同じように“たまたま今日まで生きているだけ”という不安定さが並んで見えてしまう。その視点は、日常の中の小さな違和感を丁寧にすくい上げてくれます。 きれいごとでは届かないところに手を伸ばしてくる本なので、「分からなさを抱えたまま、生きる意味を考えたい人」にしっくりくると思います。私自身、読んでからしばらく、自分が何を選んで生きているのかを静かに確かめ直したくなりました。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの31%が集中しています。
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