
民王 (角川文庫)
池井戸 潤
KADOKAWA / 2019-10-24
この本について
政治のニュースを見るたびに、なんとなくモヤッとしながらも、「でも自分に何が分かるんだろう」と思って流してしまうことってありませんか。正しさを主張する声と、目先の利益を求める声がごちゃ混ぜになっていて、結局どれが本質なのか分からないまま日常に戻る…僕もずっとそんな感じでした。 『民王』を読んでいて刺さったのは、政治をテーマにしながらも、登場人物の欲や弱さ、そして人の優しさがそのまま物語を動かしていくところでした。政治家が票を追う姿も、世論が非常に感情的に揺れ動いてしまうことも、全部「現実にありそうだな」と思える描かれ方をしていて、自分が普段どれだけ表面的な情報に振り回されているかを静かに突きつけられます。逆に、無農薬野菜の話や「人の幸せのために働きたい」という気持ちに込められた素朴な優しさは、政治とは関係なくても、人が何かを望む根っこにはこんな感情があるんだよな…と腑に落ちる瞬間でした。 それに、キャラクターが想定外の方向へ動き出すという裏側の話も、この作品の「息づいている感じ」を補強してくれます。政治という固い題材を扱いながら、人物の感情が物語を押し流していくからこそ、読んでいる側も「正しさと現実の折り合い」を自分ごととして考えやすくなるんだと思います。 政治に詳しくなくても大丈夫で、「最近なんだか世の中が幼く見える」と感じたことのある人には特に刺さると思います。僕自身、読んでからニュースの見え方が少し落ち着いたというか、表の言葉より裏にある動機に目が行くようになりました。そんな視点の変化がほしい時に、ちょうどいい一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第3章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの29%が集中しています。
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