
夜の谷を行く (文春文庫)
桐野 夏生
文藝春秋 / 2020-03-10
累計読者数5
平均ハイライト数 2.4件/人
推定読了時間 約4時間8分
star総合評価 47/100
boltライト読書型
check_circle推定完走率 68%
この本について
最近、「自分の過去をどう扱えばいいのか」みたいな悩みをよく聞きます。人に言えるほどでもないけれど、自分の中では重くて、ふとした瞬間に痛む。忘れたふりをしても、会話のひと言や、鏡に映った自分の姿で、急にその傷が開くこともあります。年齢を重ねるほど、こういう感覚って増える気がします。 『夜の谷を行く』は、その“痛みの扱い方”をやさしく教えてくれるような本ではありません。もっと生々しくて、もっと現実的です。登場人物たちは、一度越えてしまった“線”を抱えたまま歳を重ね、生活の細部の中で自分と向き合わざるを得なくなる。冷凍庫の餅の数を確認するような日常の場面でさえ、過去が横から入り込んでくる。読者が抜き出していた箇所は、まさにその「逃げられなさ」に共鳴しているのだと思います。何が本当だったのか、どこで間違えたのか、自分でも説明できないまま時だけが過ぎていくあの感覚です。 この作品が効くのは、無理に前向きにならせようとしないところです。過去を矮小化せず、説明できないまま残ってしまう“記憶の重さ”をそのまま描いてくれる。もうひとつ、この本は「人は歳を取ると別人みたいになる」という当たり前の現実を容赦なく突きつけます。その変化を悲しむのでも、励ますのでもなく、ただ事実として見つめ直させてくれるのが救いでもあります。 自分の過去をうまく語れないまま生きてきた人には、静かに刺さる本です。
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多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの36%が集中しています。
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出版社による紹介
女たちが夢見た「革命」とは? 連合赤軍事件をめぐるもう一つの真実に光をあてた傑作長篇。 山岳ベースで行われた連合赤軍の「総括」と称する凄惨なリンチにより、十二人の仲間が次々に死んだ。 アジトから逃げ出し、警察に逮捕されたメンバーの西田啓子は五年間の服役を終え、人目を忍んで慎ましく暮らしていた。 しかし、ある日突然、元同志の熊谷から連絡が入り、決別したはずの過去に直面させられる。 解説・大谷恭子 ※この電子書籍は2017年3月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
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