
マーケティングの神話 (岩波現代文庫)
石井 淳蔵
岩波書店 / 2004-12-16
この本について
マーケや企画の仕事をしていると、「お客さんは何を求めているのか、正直よくわからないまま進んでいる気がする」みたいなモヤモヤがつきまといませんか。自分もよくその沼に落ちるのですが、この本を読むと、そもそも“わからない”のが前提なんだと少し肩の力が抜けました。 面白かったのは、花王のアタックや日産マーチの開発の話が、いわゆる“論理的なプロセス”から滑らかに生まれたわけではないという点です。消費者は自分の欲望を言語化できないし、企業側も自分たちの技術の意味を完全には理解できていない。だからこそ、現場での観察や、あいまいなニーズとシーズがすれ違ったり噛み合ったりするプロセスが、とてもリアルに描かれている。読者の方が保存していた抜粋を見ると、まさにその「言葉にならない領域」をどう扱うかに刺さっているのだと思いました。 自分も「ニーズを整理して、ロジックを組み立てれば答えに近づくはず」とどこかで思いがちでしたが、この本はむしろ逆で、意味が決まっていく過程そのものを見に行く姿勢の大事さを教えてくれます。製品の意味は多義的で、消費者との関係の中でしか確定しない。その視点を持つだけで、企画の行き詰まり方が変わる感覚がありました。 「顧客インサイトの言語化にずっと苦戦している人」には、かなり静かに効く本だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの69%が集中しています。
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