
フォン・ノイマンの哲学 人間のフリをした悪魔 (講談社現代新書)
高橋昌一郎
講談社 / 2021-02-17
累計読者数21
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推定読了時間 約3時間22分
star総合評価 60/100
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この本について
仕事で判断を求められるたびに、「自分の判断なんて、結局は主観の延長なんじゃないか」と不安になることがあります。正しさを求めつつも、感情や立場に揺れる。そういうモヤモヤを抱えたまま日々を進めていると、視野の狭さにも気づきづらいままなんですよね。 この本を読んで驚いたのは、フォン・ノイマンという人物が、その“揺れ”とはまったく別の軸で動いていたことです。皇居への原爆投下を阻止しつつ、京都への投下を主張するという、単純な善悪では測れない思考の跳ね方。あるいは、量子力学でも経済学でも、分野の常識をいったん外して、ゼロから筋道をつくり直す姿勢。こういう視点に触れると、自分が「条件反射で選んでいた判断」がいかに多いかに気づかされます。 さらに、当時の研究者たちの人間関係の描写も、きれいごとではない空気のまま書かれています。たとえば、ディラックが恋愛の感情そのものを理解できないと断言しながらも結婚に至る話や、ヒルベルトが女性研究者を守るために教授会で放った一言など、“天才だからこそ不器用”な場面が続きます。歴史の大きな成果の裏に、こうした揺れる個人の姿があることを知ると、自分の葛藤も少しだけ許せる気がします。 歴史の話に見えて、実は「判断の軸をどう持つか」を考えたい人に刺さる本です。
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出版社による紹介
21世紀の現代の善と悪の原点こそ、フォン・ノイマンである。彼の破天荒な生涯と哲学を知れば、今の便利な生活やAIの源流がよくわかる! 「科学的に可能だとわかっていることは、やり遂げなければならない。それがどんなに恐ろしいことにしてもだ」 彼は、理想に邁進するためには、いかなる犠牲もやむを得ないと「人間性」を切り捨てた。 <本書の主な内容> 第1章 数学の天才 ――ママ、何を計算しているの? 第2章 ヒルベルト学派の旗手 ――君も僕もワインが好きだ。さて、結婚しようか! 第3章 プリンストン高等研究所 ――朝食前にバスローブを着たまま、五ページの論文で証明したのです! 第4章 私生活 ――そのうち将軍になるかもしれない! 第5章 第二次大戦と原子爆弾 ――我々が今生きている世界に責任を持つ必要はない! 第6章 コンピュータの父 ――ようやく私の次に計算の早い機械ができた! 第7章 フォン・ノイマン委員会 ――彼は、人間よりも進化した生物ではないか? ******** ノイマンがいかに世界を認識し、どのような価値を重視し、いかなる道徳基準にしたがって行動していたのかについては、必ずしも明らかにされているわけではない。さまざまな専門分野の枠組みの内部において断片的に議論されることはあっても、総合的な「フォン・ノイマンの哲学」については、先行研究もほとんど皆無に等しい状況である。 そこで、ノイマンの生涯と思想を改めて振り返り、「フォン・ノイマンの哲学」に迫るのが、本書の目的である。それも、単に「生涯」を紹介するだけではなく、彼の追究した「学問」と、彼と関係の深かった「人物」に触れながら、時代背景も浮かび上がるように工夫して書き進めていくつもりである。 ――「はじめに」より ******** ノイマンの思想の根底にあるのは、科学で可能なことは徹底的に突き詰めるべきだという「科学優先主義」、目的のためならどんな非人道的兵器でも許されるという「非人道主義」、そして、この世界には普遍的な責任や道徳など存在しないという一種の「虚無主義」である。 ノイマンは、表面的には柔和で人当たりのよい天才科学者でありながら、内面の彼を貫いているのは「人間のフリをした悪魔」そのものの哲学といえる。とはいえ、そのノイマンが、その夜に限っては、ひどく狼狽(うろた)えていたというのである。クララは、彼に睡眠薬とアルコールを勧めた。 ――第5章「第二次大戦と原子爆弾」より ******** 人類史上 最恐の頭脳!
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