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夏物語 (文春文庫)

夏物語 (文春文庫)

川上 未映子

文藝春秋 / 2021-08-03

累計読者数10
平均ハイライト数 84.5件/人
推定読了時間 約7時間14分
star総合評価 75/100
menu_book精読型
check_circle推定完走率 43%

この本について

ときどき、自分の努力や選んだ道にどれほど意味があるのか急にわからなくなることがありますよね。言葉は通じているはずなのに、なぜか話は通じない。仕事でも家族でも、歩み寄ろうとして噛み合わず、「自分は何を大事にして生きているんだろう」と立ち止まってしまう瞬間がある。最近の自分もまさにそんな感じで、この本を読み返しました。 『夏物語』は、大きな答えをくれるというより、「人ってこういうところでつまずくよね」という場所に静かに灯りをつけてくれる作品です。たとえば、自分の人生の価値なんて本当はちっぽけだとわかっていても、それでもなお何かを作り残したいと思ってしまう気持ち。言葉は通じても話は通じない世界で、それでも耳を澄ませてくれる誰かを探すしかない現実。そして、産むこと、生きること、死ぬことへの不安と、それを前にしたときに人がどんなふうに平気な顔をするのか、その裏側にある揺れ。読んでいると、自分の中にある説明しづらい感情が、少し輪郭をもって浮かびあがってきます。 特に刺さるのは、「正しさ」より「その人がそう感じてしまう理由」に寄り添っているところでした。生活保護をめぐるやりとりや、子どもを産むかどうかの葛藤、男女の痛みについての会話。どれも簡単にまとめられない話ばかりだけれど、その複雑さごと受け止めてくれる感じがあって、読みながら胸のどこかがほぐれていきました。 自分の気持ちの説明がうまくできなくて、でもこのまま通り過ぎるのも違う気がしている人に、とても静かに効く本だと思います。

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書籍情報(出版社紹介・目次)expand_more

出版社による紹介

大阪の下町で生まれ小説家を目指し上京した夏子。38歳の頃、自分の子どもに会いたいと思い始める。子どもを産むこと、持つことへの周囲の様々な声。そんな中、精子提供で生まれ、本当の父を探す逢沢と出会い心を寄せていく。生命の意味をめぐる真摯な問いを切ない詩情と泣き笑いの筆致で描く、全世界が認める至高の物語。 ※この電子書籍は2019年7月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
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