
夏物語 (文春文庫)
川上 未映子
文藝春秋 / 2021-08-03
この本について
ときどき、自分の努力や選んだ道にどれほど意味があるのか急にわからなくなることがありますよね。言葉は通じているはずなのに、なぜか話は通じない。仕事でも家族でも、歩み寄ろうとして噛み合わず、「自分は何を大事にして生きているんだろう」と立ち止まってしまう瞬間がある。最近の自分もまさにそんな感じで、この本を読み返しました。 『夏物語』は、大きな答えをくれるというより、「人ってこういうところでつまずくよね」という場所に静かに灯りをつけてくれる作品です。たとえば、自分の人生の価値なんて本当はちっぽけだとわかっていても、それでもなお何かを作り残したいと思ってしまう気持ち。言葉は通じても話は通じない世界で、それでも耳を澄ませてくれる誰かを探すしかない現実。そして、産むこと、生きること、死ぬことへの不安と、それを前にしたときに人がどんなふうに平気な顔をするのか、その裏側にある揺れ。読んでいると、自分の中にある説明しづらい感情が、少し輪郭をもって浮かびあがってきます。 特に刺さるのは、「正しさ」より「その人がそう感じてしまう理由」に寄り添っているところでした。生活保護をめぐるやりとりや、子どもを産むかどうかの葛藤、男女の痛みについての会話。どれも簡単にまとめられない話ばかりだけれど、その複雑さごと受け止めてくれる感じがあって、読みながら胸のどこかがほぐれていきました。 自分の気持ちの説明がうまくできなくて、でもこのまま通り過ぎるのも違う気がしている人に、とても静かに効く本だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第4章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの19%が集中しています。
読書の順序
この本の前に読まれた本
この本に似ている本
すべて見る arrow_right_alt書籍情報(出版社紹介・目次)expand_more
出版社による紹介
読んだ内容を、もう忘れない。
BookNotion Zなら、Kindleのハイライトを自動で保存・整理。Notionにエクスポートして、いつでも振り返れます。
クレジットカード不要





