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ラブカは静かに弓を持つ (集英社文芸単行本)

ラブカは静かに弓を持つ (集英社文芸単行本)

安壇美緒

集英社 / 2022-05-02

累計読者数6
平均ハイライト数 2.8件/人
推定読了時間 約4時間16分
star総合評価 50/100
boltライト読書型
check_circle推定完走率 70%

この本について

人と関わる時、どこまで踏み込んでいいのか分からなくなる瞬間ってありませんか。距離を詰めすぎても怖いし、離れすぎると何も届かない。自分の過去や弱さを話していい相手なのか、その判断にいつも迷ってしまう。そんなとき、この物語の橘が感じている「不信の壁」や「自分の話をしても大丈夫だと思える瞬間」が、妙に現実と重なってきます。 この本の良さは、心がほどけていくプロセスが派手さゼロで描かれているところです。たとえば、橘がチェロ教室に通いながら、自分でも気づかないうちに人とのやり取りに変化が生まれていく。くだらない慰めを嫌う浅葉との会話には、距離の取り方ひとつにも信頼の積み重ねが見えてきて、こちらまで息をつくような感覚になります。そして「恐れの向こう側に現実がある」という描写が、過去に囚われたまま一歩を迷っている自分にそのまま返ってくる。 もう一つ刺さるのは、“戻れないと思っていた場所に、実は戻れることもある”という視点です。二年前に戻っただけ、と橘が思う場面は、失ったと思い込んでいたものが実はまだそこにあるかもしれない、という静かな気づきをくれます。チェロという、人の声に近い楽器の存在も、その揺れをそっと補強するように響いてくる。 人間関係で身がすくむ、過去に手を伸ばしづらい、そんな人に刺さりやすい一冊だと思います。大きな励ましはどこにもないのに、読み終えるころには少しだけ自分を許せるようになる物語でした。

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書籍情報(出版社紹介・目次)expand_more

出版社による紹介

【2023年本屋大賞第2位】 【第25回大藪春彦賞受賞】 【第6回未来屋小説大賞第1位】 【第44回吉川英治文学新人賞ノミネート】 深く潜れば潜るほど、主人公と自分を重ね、浅葉先生に救われ、突き刺される。 暗い深海で一筋の光にすがるように、どうか壊れてしまわないでと願いながら、一気に読み終えました。 限られた文字数では、語りきることなどできません。 この物語はこう紡がれ、奏でられるしかなかったのだと、心から感じました。 まだずっと、余韻が残響のように、自分の中で鳴り続けています。 ――斉藤壮馬さん(声優) その人は尊敬すべき師であると同時に、得がたい友人になった。 内向的な青年の冷めた視線に映し出された世界が、次第にみずみずしく光に満ちた世界に変わっていく。 たとえその前提が裏切り行為であったにしても。 ――篠田節子さん(作家) 優れた演奏を聴き終えたかのような感動が胸に満ちてくる。 嘘を重ねる主人公にこうまで味方したくなるのは、 書き手の筆に嘘がないからだろう。 〈音楽の力〉によって結びつき回復してゆく人々を、 〈言葉の力〉で描ききった希有な小説。 ――村山由佳さん(作家) 武器はチェロ。 潜入先は音楽教室。 傷を抱えた美しき潜入調査員の孤独な闘いが今、始まる。 『金木犀とメテオラ』で注目の新鋭が、想像を超えた感動へ読者を誘う、心震える“スパイ×音楽”小説! 少年時代、チェロ教室の帰りにある事件に遭遇し、以来、深海の悪夢に苛まれながら生きてきた橘。 ある日、上司の塩坪から呼び出され、音楽教室への潜入調査を命じられる。 目的は著作権法の演奏権を侵害している証拠をつかむこと。 橘は身分を偽り、チェロ講師・浅葉のもとに通い始める。 師と仲間との出会いが、奏でる歓びが、橘の凍っていた心を溶かしだすが、法廷に立つ時間が迫り……
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