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臨床の砦 (小学館文庫)

臨床の砦 (小学館文庫)

夏川草介

小学館 / 2021-04-28

累計読者数3
平均ハイライト数 1.7件/人
推定読了時間 約2時間47分
star総合評価 41/100
boltライト読書型
check_circle推定完走率 83%

この本について

最近、ちょっとしたことで人との距離を感じたり、ニュースを見るたびに気持ちがざわついたりしませんか。相手の背景も事情もわからないまま、疲れた感情だけが先に動いてしまう時期って、誰にでもあると思います。僕自身、そんなモヤモヤを抱えたまま過ごしているときに『臨床の砦』を読んで、少し呼吸の仕方が変わった感覚がありました。 この本が効くのは、大きな声よりも「声にならないもの」を丁寧に描いているところです。負の感情は連鎖する、と作中で語られますが、その言葉は単なる教訓ではなく、医療現場の日々の積み重ねから生まれていて、妙に現実の景色と重なるんですよね。例えば、苛立ちを抱えた患者と疲弊した医療者が出会う場面で、互いの沈黙の奥にあるものが少しだけ見える瞬間があります。そこで描かれる「うつむいたまま歯を食いしばる人」の存在は、医療に限らず、職場でも家庭でも、名前をつけられずに埋もれていく感情そのものだと思います。 もう一つ、この本には、誰かを理解しようとすること自体の難しさと、それでも少しだけ歩み寄れる瞬間がある、という現実的な温度があります。劇的な解決は出てきませんが、そのかわり、日々を支えている小さな選択や態度に目を向けられるようになる。読後に、人との関わり方をほんの少しだけ柔らかくできる余白をくれる本です。 こんな人に刺さると思います。大きな声よりも、日常の中で静かに踏ん張っている人の存在を無視したくない人。

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読書インサイト

ハイライト密度

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読書の順序

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書籍情報(出版社紹介・目次)expand_more

出版社による紹介

緊急出版!「神様のカルテ」著者、最新作。 「この戦、負けますね」 敷島寛治は、コロナ診療の最前線に立つ信濃山病院の内科医である。一年近くコロナ診療を続けてきたが、令和二年年末から目に見えて感染者が増え始め、酸素化の悪い患者が数多く出てきている。医療従事者たちは、この一年、誰もまともに休みを取れていない。世間では「医療崩壊」寸前と言われているが、現場の印象は「医療壊滅」だ。ベッド数の満床が続き、一般患者の診療にも支障を来すなか、病院は、異様な雰囲気に包まれていた。 「対応が困難だから、患者を断りますか? 病棟が満床だから拒絶すべきですか? 残念ながら、現時点では当院以外に、コロナ患者を受け入れる準備が整っている病院はありません。筑摩野中央を除けば、この一帯にあるすべての病院が、コロナ患者と聞いただけで当院に送り込んでいるのが現実です。ここは、いくらでも代わりの病院がある大都市とは違うのです。当院が拒否すれば、患者に行き場はありません。それでも我々は拒否すべきだと思うのですか?」――本文より。 (2021年4月発行作品)
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