
ほんとうの定年後 「小さな仕事」が日本社会を救う (講談社現代新書)
坂本貴志
講談社 / 2022-08-18
この本について
定年前後の働き方って、考えようとすると急に足が重くなるというか、「今の延長でいいのか」「そもそも自分は何を望んでいるのか」がよく分からなくなることがあります。収入の不安もあるし、これまでの肩書きが外れたときに何が残るのかを想像すると、どこか落ち着かないまま時間だけが過ぎてしまう感じがあるんですよね。 この本が助かったのは、いきなり大きな答えを示すのではなく、定年後の仕事を「現役時代の続き」としてではなく、「生活の一部としての仕事」として見直す視点をくれたことでした。月10万円の収入が家計にどう効くのか、体力や気力が変わるなかでどんな働き方なら無理なく続けられるのか、そして現役時代に積み重ねた対人能力や調整力がどんな形で活きるのか。読みながら、仕事との付き合い方を少しずつ現実的なサイズに調整していく感覚がありました。 特に、定年前後の意識の断絶をどう越えるかという指摘は、自分の不安の正体を言葉にしてもらったようでしっくりきました。成長を追い続ける働き方だけが正解ではなく、生活のリズムを整えつつ、緩やかなつながりの中で働く選択もちゃんと肯定される。そう思えるだけで、将来への構え方が少し柔らかくなる気がします。 将来の働き方を「延長線」ではなく「再設計」として捉え直したい人に、静かに刺さる一冊だと思います。
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