
ベンチャーキャピタル全史
トム・ニコラス and 鈴木立哉
新潮社 / 2022-09-22
この本について
仕事で新しい事業に関わったり、スタートアップの動きを追っていると、「結局どこまでが市場で、どこからが制度の力なのか」がよく分からなくなる瞬間があると思います。成功している会社の裏に何があったのかを知りたいのに、神話みたいな話ばかりが流れてきて、現実の仕組みが見えないまま判断しないといけない。僕もずっとそこにもやもやしていました。 『ベンチャーキャピタル全史』は、その曖昧さに少しだけ輪郭をつけてくれる本でした。読者のみなさんが保存していた抜粋にもありましたが、政府の制度設計がどれだけVCの進化に影響してきたか、そして「市場は市場だけで動いているわけではない」という当たり前のようで見落としがちな視点が丁寧に描かれています。僕は特に、10年以上かけて実る小さな投資が歴史を動かしてきたという点に、妙に救われました。短期で成果を求められがちな日々でも、長く育つものがあると知れるだけで呼吸がしやすくなるというか。 それに、当時のVCがどんな現実的な制約に向き合い、どんな工夫でキャッシュフローを作ろうとしていたのかを知ると、今のスタートアップ評価のロジックも少し理解しやすくなります。ネットワークや人材といった“目に見えない資源”がどれほど重要だったかも、歴史を通すと立体的に見えてきます。 制度と市場の境界が気になっている人、あるいはスタートアップの世界を神話ではなく現実の温度で理解したい人には静かに刺さる本だと思います。僕もまだ迷いながらですが、こういう背景を知ると判断に少しだけ芯が通る感覚があります。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第8章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの30%が集中しています。
読書の順序
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