
絶望名言 文庫版
頭木弘樹, NHK〈ラジオ深夜便〉制作班, 川野一宇, and 根田知世己
飛鳥新社 / 2023-04-24
この本について
最近、人と話していても「うまく伝わらないな」と感じたり、落ち込んだ気持ちがすぐ浮上できずに、そのまま底に沈んでいるような感覚になることが増えました。前向きにならなきゃと思うほど身体がついてこなくて、「この状態のままでもいいのか」と不安だけが残る、あの感じです。 『絶望名言』を読んでいると、そういう“沈んだままの時間”に無理な浮き輪を投げてくる本ではないんだな、と気づきます。深く沈んだら急に浮上すると潜水病になる、という話がまさにそうで、しんどさから抜け出すにも、自分のペースが必要なんだと素直に思えました。それに、ゴッホの話のように「表向きの説明ではどうも腑に落ちない」という人間の複雑さをていねいに扱ってくれるので、自分の弱さもひとつの“筋の通った反応”だったのかもしれないと、少しだけ呼吸が楽になります。 もう一つ沁みたのは、絶望はすごく個人的で、他人には本当のところは伝わらない、という視点。それを前提にしてくれるからこそ、「わかってもらおう」と無理に頑張らなくていいと思えて、気持ちの距離感の取り方が変わりました。倒れたままでいさせてくれる枕、という表現がありましたが、まさにそんな本です。 完璧に立ち直りたい人よりも、「いまはまだ立ち直れないけど、そのままの自分をいったん肯定したい」という人に刺さる気がします。
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