
家事か地獄か 最期まですっくと生き抜く唯一の選択
稲垣えみ子
マガジンハウス / 2023-05-25
この本について
最近、家の中が片付いているはずなのに気分が晴れないとか、便利なものを揃えているのに忙しさばかり増える…そんな感覚を抱える人、多いと思います。自分でも理由がうまく言葉にできないまま、「なんでこんなに疲れるんだろう」と立ち止まる瞬間があるんですよね。 この本は、そのモヤモヤの正体を“家事そのもの”に結びつけてくれる一冊です。といっても「もっと家事を頑張ろう!」という話ではなく、むしろ逆で、便利さやモノに寄りかかるほど自分の感覚や力を失っていく、そのプロセスを著者が等身大で語ってくれます。買い物こそ現代最大の家事だと気づく場面や、一汁一菜にしたことで献立に悩まなくなり時間が増えたという話は、読みながら「あ、そこがしんどさの源だったのか」と腑に落ちるところが多いはずです。 何より刺さるのは、「家事とは自分で自分の機嫌を取ること」という視点でした。誰に評価されなくても、自分の暮らしを自分で整えられることが、老いようが状況が変わろうが“無力にならない”ための土台になる。その感覚を思い出させてくれます。大げさな理想論ではなく、手ぬぐい一枚や物を手放す瞬間の戸惑いなど、生活の手触りごと描かれているので身近に感じられるのも救いでした。 「便利に囲まれているのに満足できない」「暮らしが自分を追い立ててくる感じがする」そんな人に静かに響く本です。読んだあと、家事という言葉の重さが少し変わります。
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