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血も涙もある(新潮文庫)

血も涙もある(新潮文庫)

山田詠美

新潮社 / 2023-08-29

累計読者数3
平均ハイライト数 20.7件/人
推定読了時間 約2時間53分
star総合評価 63/100
trending_up後半加速型
check_circle推定完走率 47%

この本について

人と親しくなるほど、自分の中の面倒くささや矛盾が露わになってきて、これでいいのかと不安になる時ってありますよね。まっすぐでいたいのに、そのまっすぐさが時にバカみたいに思えたり、強く見せたいのに実際は傷つきやすかったり。夫婦でも恋人でも、分かり合えているようで噛み合わない場面がずっとつきまとう。私もそのあたりでよく足が止まります。 山田詠美『血も涙もある』は、その「どうしようもない人間の癖」に真正面から光を当ててくる小説でした。親密な関係にだけ生まれる独自のルールとか、冷酷さと優しさが同居する感じとか、誰にも言えない小さな嫉妬や虚勢。こういうものを、きれいごとにせず、でも否定もせずに描いてくれるので、読んでいると妙に肩の力が抜けるんです。たとえば、自分の役割を勝手に背負って疲れていた人が「飄々とした自分って、単なるコスプレだったのかも」と気づく流れは、身に覚えのある人ほど刺さると思います。 そして何より、登場人物のささやかな行動が、感情のバランスの取り方そのものなんですよね。スーパーで生クリームを振ってしまうあの場面も、理屈じゃ説明できない衝動の形としてすごくリアルで、人間ってこういうところで溢れるんだよな、としみじみしました。人と関わる中で「自分の弱さをどう扱うか」に悩む人には、じんわり効いてくる一冊です。 特に、強く見せたいけれど本当は些細なことで傷つくタイプの人に刺さります。

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書籍情報(出版社紹介・目次)expand_more

出版社による紹介

不倫? 倫理が何かは自分で決める――。35歳の和泉桃子は当代随一の料理研究家・沢口喜久江の助手を務めつつ、彼女の夫・太郎と付き合っている。「人の夫を寝盗ること」を趣味とする桃子だったが、喜久江を心から尊敬してもいる。一方の喜久江は、太郎の女癖を受け流すのが常だったが……。“lover”と“wife”と“husband”三者の視点で語られる「危険な関係」の行方は。極上の詠美文学!(解説・平松洋子)
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