
血も涙もある(新潮文庫)
山田詠美
新潮社 / 2023-08-29
この本について
人と親しくなるほど、自分の中の面倒くささや矛盾が露わになってきて、これでいいのかと不安になる時ってありますよね。まっすぐでいたいのに、そのまっすぐさが時にバカみたいに思えたり、強く見せたいのに実際は傷つきやすかったり。夫婦でも恋人でも、分かり合えているようで噛み合わない場面がずっとつきまとう。私もそのあたりでよく足が止まります。 山田詠美『血も涙もある』は、その「どうしようもない人間の癖」に真正面から光を当ててくる小説でした。親密な関係にだけ生まれる独自のルールとか、冷酷さと優しさが同居する感じとか、誰にも言えない小さな嫉妬や虚勢。こういうものを、きれいごとにせず、でも否定もせずに描いてくれるので、読んでいると妙に肩の力が抜けるんです。たとえば、自分の役割を勝手に背負って疲れていた人が「飄々とした自分って、単なるコスプレだったのかも」と気づく流れは、身に覚えのある人ほど刺さると思います。 そして何より、登場人物のささやかな行動が、感情のバランスの取り方そのものなんですよね。スーパーで生クリームを振ってしまうあの場面も、理屈じゃ説明できない衝動の形としてすごくリアルで、人間ってこういうところで溢れるんだよな、としみじみしました。人と関わる中で「自分の弱さをどう扱うか」に悩む人には、じんわり効いてくる一冊です。 特に、強く見せたいけれど本当は些細なことで傷つくタイプの人に刺さります。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第4章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの15%が集中しています。
読書の順序
この本の前に読まれた本
この本に似ている本
すべて見る arrow_right_alt書籍情報(出版社紹介・目次)expand_more
出版社による紹介
読んだ内容を、もう忘れない。
BookNotion Zなら、Kindleのハイライトを自動で保存・整理。Notionにエクスポートして、いつでも振り返れます。
クレジットカード不要






