
さよならの言い方なんて知らない。9(新潮文庫nex)
河野裕
新潮社 / 2024-07-29
この本について
人のことを本気で大事にしようとすると、自分の気持ちや目的がどんどん後ろに追いやられていくことってありますよね。相手を守りたいのか、それとも相手に守られていたいのか。どっちが本音なのか自分でもよく分からなくなるあの感じ、僕もたびたびつまずきます。 この巻の抜粋を読んだとき、「考えろ、どこまでだって考えろ」という必死さと、「守りたい」という気持ちがいつの間にか呪いみたいになっていく怖さが、すごくリアルだと思いました。自分の全部を差し出せるほど誰かを想ってしまったとき、その選択は本当に自分の意思なのか、それとも役割に引っ張られているだけなのか。物語としてのスケールは大きいのに、人間の感情の迷い方は驚くほど身近なんです。 この本が効いてくるのは、まず「大事な人に向き合うときの距離感の取り方」が揺れているとき。無理に正解を指し示すわけじゃなくて、登場人物たちの迷いを追いかけていくうちに、自分も一度立ち止まれる余白が生まれます。それから、「自分の選択は誰のためのものか」を考えるヒントが少しずつ拾えていくところも大きい。感情に飲み込まれる側だけでなく、飲み込む側の怖さまで描かれるので、自分の中の影にも気づけます。そして何より、「全部は分からなくていいけど、それでも考え続けていい」という姿勢が、読んだあとにも残ります。 大切な人との関係でいつも無理をしがちな人に刺さると思います。物語としての面白さはそのままに、人の心に入り込んでくるような一冊でした。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの50%が集中しています。
読書の順序
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