
「これくらいできないと困るのはきみだよ」?
勅使川原 真衣、野口 晃菜、竹端 寛、武田 緑、川上 康則
この本について
学校や教育の話題って、当事者じゃなくてもどこか胸がざわつくことがありますよね。子どもに寄り添いたいのに、現場の仕組みがそれを許してくれない感じとか。「この子さえいなければ」と思わされる構造のほうに問題があるのに、自分の力量不足として抱え込んでしまうあの感覚。教師じゃなくても、職場で似た経験をしている人は多いと思います。 この本が面白いのは、個人の努力や能力に解決を求める前に、「そもそも前提が間違ってない?」と環境の側を丁寧にほどいていくところです。例えば、フィードバックがうまく回らないのは先生の技量ではなく、1人が見られる人数の限界の話だったり、規範から外れた子が「支援対象」になるのは、学校のほうが多様性を前提にしていないからだったり。個人を責めず、構造をまな板に乗せる視点が、読んでいてすごく呼吸を楽にしてくれます。 そしてもう一つ大きかったのは、能力主義の価値観に乗っかった評価やコミュニケーションしか知らないまま大人になってしまった私たち自身の“経験の限界”にも触れてくれるところ。先生がうまく関われないのは、「できない」からではなく、そういう関わりを受けたことがないからかもしれない。その視点は、職場のマネジメントや人間関係にもそのまま当てはまります。 教育に限らず、「環境のつくり方から考え直したい人」に静かに刺さる本だと思います。自分の働き方や周りとの関わり方が、少し違う角度から見えてきます。
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多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの56%が集中しています。
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