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謎の香りはパン屋から

謎の香りはパン屋から

土屋うさぎ

宝島社 / 2025-01-10

累計読者数9
平均ハイライト数 8.4件/人
推定読了時間 約3時間17分
star総合評価 51/100
menu_book精読型
check_circle推定完走率 37%

この本について

仕事でも創作でも、手を動かすだけではどうにもならない時ってありますよね。気持ちが乱れていると、普段できることまで途端にうまくいかなくなる。頭では「落ち着け」と思っても、心だけ置いてけぼりになる感じ。僕も何度もやらかしてきたので、あの居心地の悪さはよくわかります。 『謎の香りはパン屋から』を読んでいて刺さったのは、登場人物たちがまさにその“心の置き場所”に悩んでいるところでした。フランスパンのクープが入れられなくなる理由がメンタルの揺れだったり、左右盲ゆえのミスに自分でも説明がつけられず落ち込んだり、夢を追いながら「才能ないんじゃないか」と自分にツッコミを入れ続けたり。どれも大げさなドラマじゃないのに、「ああ、そういう日あるよな」と静かに共感してしまうんです。 この作品が優しいのは、そういう迷いを「弱さ」と決めつけないところだと思います。パンと向き合うことは自分の心と向き合うことだ、という言葉は、努力を上書きするような精神論ではなく、ぐしゃっとした感情を抱えながらも少しずつ前に進む方法を示してくれます。誰かから不意に褒められて救われたり、昔のチョココロネの思い出でスイッチが入ったり、ほんの小さなことが人を動かす瞬間が丁寧に描かれていて、自分の生活にも同じような「立ち直りのきっかけ」があるかもしれないと思わせてくれるんです。 迷いながらでも手を動かしたい人、あるいは「自分のペースで進んでいい」と言われたかった人には、とても静かに効きます。

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書籍情報(出版社紹介・目次)expand_more

出版社による紹介

2025年 第23回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作 クロワッサン、フランスパン、シナモンロール、チョココロネ、カレーパン… 焼きたてのパンの香りが広がる〈日常の謎〉ミステリー! 選考委員絶賛! 「全体を包む空気感が魅力的」――大森望(翻訳家・書評家) 「おいしそうなパンの魅力で読ませる」――香山二三郎(コラムニスト) 「読者のもてなし方を分かっている」――瀧井朝世(ライター) 「決め手は、この味わいの心地よさだ」――吉野仁(書評家) (あらすじ) 大学一年生の市倉小春は漫画家を目指しつつ、大阪府豊中市にあるパン屋〈ノスティモ〉でアルバイトをしていた。あるとき、同じパン屋で働いている親友の由貴子に、一緒に行くはずだったライブビューイングをドタキャンされてしまう。誘ってきたのは彼女のほうなのにどうして? 疑問に思った小春は、彼女の行動を振り返り、意外な真相に辿りつく……。パン屋を舞台とした〈日常の謎〉連作ミステリー! (著者プロフィール) 土屋うさぎ 1998年8月、大阪府箕面市生まれ、東京都府中市育ち。大阪大学工学部応用理工学科中退。現在は漫画アシスタント兼漫画家。2023年、『あぁ、我らのガールズバー』で集英社・第98回赤塚賞準入選。同年、『見つけて君の好きな人』で小学館・「創作百合」漫画賞佳作。2024年、『文系のきみ、理系のあなた』で一迅社・第30回百合姫コミック大賞翡翠賞受賞。同年、第23回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞し、本作で小説家デビュー。
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