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朝が来る (文春文庫)

朝が来る (文春文庫)

辻村 深月

文藝春秋 / 2018-09-04

累計読者数9
平均ハイライト数 5.6件/人
推定読了時間 約4時間29分
star総合評価 54/100
trending_up後半加速型
check_circle推定完走率 54%

この本について

最近、「家族って何なんだろう」と考え込む瞬間が増えました。親との距離感や、誰にも言えない後悔、正しさを押しつけられたときの息苦しさ。歳を重ねても、ここはずっと迷い続ける場所なんだろうなと思います。 『朝が来る』を読んで感じたのは、この“迷い”そのものに物語が静かに寄り添ってくれる感覚でした。登場人物たちはみんな、自分の選択に自信が持てず、家族という言葉に振り回され、何が正しいかなんて誰も知らないまま進んでいく。特に、逃げたくなるほど追い詰められたひかりが、それでも「今日一緒に見た空だけは覚えていよう」と思う場面に、自分の中の大事な記憶がそっと触れられたような気がしました。 この本が効いてくるのは、きれいごとではなく、家族の“矛盾”をそのまま描いているところです。血のつながりに縛られる苦しさと、頼ってしまう安堵が同時に存在してしまう感じ。誰かを恨みながら、その人の言葉を欲してしまう感じ。そういう説明しにくい気持ちを、言葉にしてくれる瞬間が何度もありました。養子というテーマも、善悪や正解の話ではなく、「この選択をした人の心はどんな形をしていたのか」を丁寧に考えさせられます。 家族との距離に悩んでいる人、あるいは「この気持ち、誰にもわかってもらえない」と思うことがある人には、特に刺さると思います。読後にスッキリする話ではないけれど、自分の中に置きっぱなしだった感情の輪郭が少しだけ整うような、そんな読書体験でした。

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書籍情報(出版社紹介・目次)expand_more

出版社による紹介

第147回直木賞、第15回本屋大賞の受賞作家が到達した新境地! 長く辛い不妊治療の末、栗原清和・佐都子夫婦は、民間団体の仲介で男の子を授かる。朝斗と名づけた我が子はやがて幼稚園に通うまでに成長し、家族は平穏な日々を過ごしていた。そんなある日、夫妻のもとに電話が。それは、息子となった朝斗を「返してほしい」というものだった——。 自分たちの子供を産めずに、特別養子縁組という手段を選んだ夫婦。 中学生で妊娠し、断腸の思いで子供を手放すことになった幼い母。 それぞれの葛藤、人生を丹念に描いた、胸に迫る長編。 河瀬直美監督も推薦! 「このラストシーンはとてつもなく強いリアリティがある。」(解説より)
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