
朝が来る (文春文庫)
辻村 深月
文藝春秋 / 2018-09-04
この本について
最近、「家族って何なんだろう」と考え込む瞬間が増えました。親との距離感や、誰にも言えない後悔、正しさを押しつけられたときの息苦しさ。歳を重ねても、ここはずっと迷い続ける場所なんだろうなと思います。 『朝が来る』を読んで感じたのは、この“迷い”そのものに物語が静かに寄り添ってくれる感覚でした。登場人物たちはみんな、自分の選択に自信が持てず、家族という言葉に振り回され、何が正しいかなんて誰も知らないまま進んでいく。特に、逃げたくなるほど追い詰められたひかりが、それでも「今日一緒に見た空だけは覚えていよう」と思う場面に、自分の中の大事な記憶がそっと触れられたような気がしました。 この本が効いてくるのは、きれいごとではなく、家族の“矛盾”をそのまま描いているところです。血のつながりに縛られる苦しさと、頼ってしまう安堵が同時に存在してしまう感じ。誰かを恨みながら、その人の言葉を欲してしまう感じ。そういう説明しにくい気持ちを、言葉にしてくれる瞬間が何度もありました。養子というテーマも、善悪や正解の話ではなく、「この選択をした人の心はどんな形をしていたのか」を丁寧に考えさせられます。 家族との距離に悩んでいる人、あるいは「この気持ち、誰にもわかってもらえない」と思うことがある人には、特に刺さると思います。読後にスッキリする話ではないけれど、自分の中に置きっぱなしだった感情の輪郭が少しだけ整うような、そんな読書体験でした。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第10章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの20%が集中しています。
読書の順序
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