
ブラック企業 日本を食いつぶす妖怪 (文春新書)
今野晴貴
文藝春秋 / 2012-11-20
この本について
仕事のことで悩んでいる人と話していると、「自分が弱いだけなのかもしれない」とか「辞めたら終わりなんじゃないか」という不安をよく聞きます。実は自分自身も、昔はトラブルに巻き込まれるたびにまず「自分が悪い」と思ってしまうタイプでした。でも、その感覚がどこから来ているのか言語化できず、なんとなくモヤモヤを抱えたまま働いていたんですよね。 『ブラック企業 日本を食いつぶす妖怪』は、その“罪悪感の植えつけ方”がどう仕組まれているのかを、具体的な事例やデータを使って淡々と示してくれます。「自分が悪い」と思わされる構図や、「代わりはいる」という前提で労働者を消費する仕組み、さらに新卒カードの重さが若者を黙らせてしまう現実など、普段は“なんとなく”で片付けていた違和感が一つずつ説明されていく感覚があります。読んでいて心地よい本ではないけれど、状況を“自分のせい”にしすぎていた視点が少しずつほぐれていきました。 特に助けられたのは、「自分の身を守る戦略を持つ」という話が、根性論ではなく現実の行動として描かれていたことです。たとえば残業代の未払いに気づいたとき、一人で抱え込まず全体の問題として扱う視点や、退職強要に遭ったとき他の人と連携して動くという考え方。できることは限られていても、「何も言えないのが当たり前」という思い込みから距離を取れるだけで、働き方の選択肢が少し広がる気がします。 今の環境がなんとなくおかしい気がするけれど、自分の感じ方が間違っているのではと迷っている人に刺さる本だと思います。
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