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伊豆の踊子(新潮文庫)

伊豆の踊子(新潮文庫)

川端康成

新潮社 / 2022-06-24

累計読者数5
平均ハイライト数 7.6件/人
推定読了時間 約2時間24分
star総合評価 34/100
start序盤集中型
check_circle推定完走率 13%

この本について

日々それなりに頑張っていても、ふとした瞬間に「自分の心の温度が分からないな」と感じることがありませんか。人との距離の取り方に迷ったり、やさしくしたいのに素直になれなかったり。私もそうで、だからこそ『伊豆の踊子』のいくつかの場面が、変に理屈抜きで胸に残りました。 たとえば、峠道を必死に駆け上がった主人公が、踊子にそっと座布団を差し出される場面。言葉はほとんどなく、ただ裏返しの座布団を置くという小さな行為だけなのに、胸の奥の硬いところがふっとほどけていくような感じがしたんです。また、夜の町を眺めながら理由もなく涙が落ちてくる描写や、雨に追われながら山道を歩く息づかい。読者の方が保存していた抜粋は、どれも「説明のつかない揺れ」をそのまま抱えたシーンばかりで、そこに刺さっているのだと思いました。 この物語が効くのは、大げさに言えば「自分の心の輪郭をもう一度確かめたいとき」です。人に親切にされても素直に受け取れなかったり、逆に過剰に胸が熱くなったり、そのふらつきを物語の中で一緒に体験させてくれる。自然や雨の匂いと混ざり合うように感情が揺れるので、自分の中の静かな層が少しだけ見えてきます。 こんな人に刺さると思います。強がっているわけではないのに、気づけばいつもひとりで気持ちを処理してしまう人。そういう人ほど、この短い旅の時間に寄り添ってもらえるはずです。

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書籍情報(出版社紹介・目次)expand_more

出版社による紹介

旧制高校生の「私」は、一人で伊豆を旅していた。途中、旅芸人の一行を見かけ、美しい踊子から目が離せなくなる。大きな瞳を輝かせ、花のように笑う踊子。彼女と親しくなりたい。だが、「私」は声をかけられない……。そんなとき、偶然にも芸人たちから話しかけられ、「私」と踊子との忘れられない旅が始まった――。若き日の屈託と瑞瑞しい恋を描いた表題作。ほかに「温泉宿」「抒情歌」「禽獣」を収録。(解説・竹西寛子、重松清)※三島由紀夫による解説は収録しておりません。
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