
ひとを〈嫌う〉ということ (角川文庫)
中島 義道
KADOKAWA
この本について
人間関係で「嫌い」を感じるたびに、自分が小さく見える気がしたり、そんな感情を持つこと自体がダメなんじゃないかと落ち込んだりしませんか。表では平静を装いながら、内側では相手の声や表情が何度もよみがえってきて、勝手に疲れてしまう。僕もそうで、どう扱えばいいのかずっとわからないまま大人になったタイプです。 中島義道『ひとを〈嫌う〉ということ』は、その「扱い方のわからなさ」自体に正面から光を当てる珍しい本です。嫌いをゼロにしようとするでもなく、大嫌いに振り切るでもなく、安全なところで低空飛行しながら「互いに嫌っている事実」を静かに確認するという視点は、ちょっと乱暴に聞こえるのに妙に現実的です。また、相手を避け続ける“優しさ”の裏に、自分が傷つきたくないだけのずるさが潜む、という指摘も耳が痛いけれど救いがあります。自分の反応の正体がわかるだけで、余計な自己嫌悪が減るんですよね。 読んでいて一番刺さったのは、誰もが表では「嫌っていないふり」をする社会の空気そのものをフィクションとして扱っているところ。だからこそ、小さな嫌悪に振り回される自分もまた普通の人間なんだと思えるし、嫌いとどう距離を取るかは技術なんだと腹落ちしました。 人間関係で“なんとなくしんどい理由”を丁寧に言語化したい人に向いている本です。僕自身、この本のおかげで、嫌いという感情を押し込めるより、まず静かに観察するところから始めればいいと思えるようになりました。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第2章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの29%が集中しています。
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