
「哲学実技」のすすめ そして誰もいなくなった・・・・・・。 (角川oneテーマ21)
中島 義道
KADOKAWA
この本について
日常で「なんとなく世間に合わせてるだけだな」とか、「自分の本音がどこにあるのかわからない」と感じること、けっこうありますよね。議論になると急に言葉を選びすぎたり、逆に匿名だと強く出すぎてしまったり。自分の中のエゴや違和感を扱うのって、思っている以上に難しいなと僕もよく思います。 この本が面白いのは、善悪とかエゴイズムみたいな大きな話をしているようでいて、実は「自分の言葉を自分で扱えるようになるまでの練習帳」みたいなところです。世間語に逃げずに、なぜ自分はそう思うのかまで潜ってみること。憎しみや不満を感じたなら、それをまず言葉でちゃんと表現してみること。匿名の群れに紛れて攻撃したり、逆に弱さを理由に責任を回避したりする前に、個人として立つこと。そのあたりの姿勢を、著者はかなりストレートに突いてきます。 読んでいて特に効いたのは、「他人とは本当にわかり合えない体験を通してしか、自分の言葉は育たない」という視点でした。相手と少しずつ差異を確認し続ける疲れる作業こそが、思考の筋力になるという話は、普段の仕事でも人間関係でもそのまま使える感覚があります。気まずさや衝突を避けるために丸めてきた部分が多い人ほど、刺さるところがあると思います。 「本当は何を感じてるのかわからないまま日々が流れていく人」に向いている一冊です。読んでスッキリする類の本ではないけれど、自分の内側と言葉をもう少し丁寧に扱いたい時に、静かに火をつけてくれる本でした。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第2章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの25%が集中しています。
読書の順序
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