
闇の自己啓発
江永 泉、木澤 佐登志、ひでシス、役所 暁
この本について
最近、ネットや仕事の現場で「世界がどんどん複雑になっていくのに、自分の理解は追いつかない」という感覚を抱くことが増えました。アルゴリズムや政治の議論を眺めていても、何が本質で何が演出なのか判別できないまま疲れてしまう。そんなときに『闇の自己啓発』を読むと、世界の見え方そのものが少しズレる感覚があります。 この本が面白いのは、「現実はすでにシミュラークル化している」といった話を、小難しい哲学の棚に戻さず、今のネット文化や政治、サイバー犯罪の事例まで巻き込んで語ってくれるところです。AIを“天理”に見立てたり、オルタナ右翼の言葉の乗っ取りを解剖したり、VTuberやなろう系を文化の流れとして扱ったり、とにかく接続先が広い。読んでいるうちに、私たちが当たり前と思っていた「主観と対象の関係」すら揺らいでくるのに、変に悟れと言われる感じがありません。 個人的に効いたのは、物自体へ直接アクセスできないという相関主義を出発点にしながら、それでも世界の歪みや残酷さをきちんと観察しようとする姿勢でした。行政の無能さが逆にディストピア化を防いでいる、という話などは笑えるのに妙な説得力があって、自分が立っている場所をもう一度見直すきっかけになりました。 「世界が狂ってきた気がするけど、単純な希望やスローガンでは整理できない」と感じている人に刺さる一冊です。自分の感覚のズレをそのまま持ち込みながら読める稀有な本だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第2章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの40%が集中しています。
読書の順序
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