
母は娘の人生を支配する なぜ「母殺し」は難しいのか NHKブックス
斎藤 環
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この本について
母との距離感って、一度つまずくとずっと引きずりますよね。好かれたいわけじゃないのに、嫌われるのも怖い。やりたいことがあっても、どこかで「母の期待」を計算してしまう。その感覚が言語化できなくて、ただ重さだけが残る。そういうモヤモヤを抱えたまま大人になった人は多いと思います。 この本が面白いのは、母娘関係を「個人の性格」ではなく、もっと大きな構造から説明しようとしているところです。母が娘に求めるものが、実はプレゼントや仕送りでは埋まらない“生き直し”の欲望だったり、世間の視線が女性の自立に不自然な条件を付けてきたり、娘側が悪いわけでも母側が悪いわけでもない複雑さが、ようやく形として見えてきます。読んでいると、自分の反応やしんどさが「個人の欠陥じゃなかったんだ」と静かに整理されていく感じがあります。 さらに印象的なのは、解決を“断ち切ること”に置かない点です。完全に克服するのではなく、意味づけを一度手放したり、第三者を関係に入れたり、母を「一人の不完全な人」として見直したりと、現実的な落としどころが示されている。感情論でも理想論でもなく、「今日からどう距離をとるか」というレベルに落ちてくるのがありがたいです。 母の期待に敏感すぎて、自分の人生が自分のものに感じられない人に特に刺さる一冊だと思います。
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