
「自傷的自己愛」の精神分析 (角川新書)
斎藤 環
KADOKAWA / 2022-12-09
この本について
最近、「変わりたい気持ちはあるのに、実際に動けない」「自分を否定するクセが手放せない」という話をよく聞きます。僕自身、気づけば“正しさ”や“理屈”で自分を追い詰めてしまうことがあって、その背景にある感情までは見えていませんでした。 斎藤環さんの『「自傷的自己愛」の精神分析』は、そうしたモヤモヤに対して、無理に元気づけるタイプの本ではありません。でも、自分の中で何が起きているのかを、ちょっと遠くから見られるようになる本です。たとえば、自己卑下に妙な快感がある理由や、変化を信じられない感覚の根っこにある「高いプライドと低い自信」のギャップ。そこに名前がついていくと、自分の反応を少しだけ扱いやすくなるんですよね。 もう一つ印象に残ったのは、「適度の欲求不満」という考え方です。誰かの期待に応えてほしい、でも応えてくれない。その往復の中で、人は少しずつ自分をなだめる術を覚えていく。大人になっても、ここが育ちきっていない感覚に心当たりのある人は多いと思います。僕も、人との距離感に戸惑ったとき、この視点に助けられました。 誰かを完璧に理解することも、逆に説得しきることもできない。でも、「対話を続けるための言い方」や「自分を保つための距離の置き方」が、この本には静かに書かれています。自己肯定感の本ではピンと来なかった人ほど、しっくりくるはずです。 自分を責めすぎる癖がある人、自信のなさとプライドの高さに引き裂かれる感じがある人にこそ届く一冊だと思います。
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