
使える 弁証法―ヘーゲルが分かればIT社会の未来が見える
田坂 広志
東洋経済新報社 / 2005-12-08
この本について
仕事でも生活でも、「決めたはずの方針があっという間に古びてしまう」とか、「短期と長期、どっちを優先すべきか分からないまま揺れている」というモヤモヤ、けっこうありますよね。僕自身も、割り切れないまま動いている感じがずっとあって、もっとスッキリ整理できないものかと思っていました。でも、この本に出てくる“螺旋的に発展する”という視点に触れたとき、物事を一直線で見ようとしていた自分に気づかされました。 特に刺さったのは、古いものが単に消えるのではなく、必要な形で復活してくるという考え方です。合理化の流れで消えていった要素にも意味があって、状況が変われば価値が戻ってくる。仕事で「これはもう古いから切り捨てよう」と思っていた習慣や仕組みが、実は別の形で生きるかもしれない。そう思えるだけで、判断の幅がかなり広がりました。また、矛盾を急いで解消しないという姿勢も、個人的には救われるところでした。短期と長期、効率と手触り、そのどちらも抱えたまま進むほうが自然なんだと腑に落ちた感覚があります。 戦略がすぐ陳腐化する時代にどう備えるかとか、自分の仕事で「何が復活する可能性があるのか」を読む視点は、読んだ翌日からそのまま使えました。たとえばチームの方針を考えるとき、いま見えなくなっている機能や価値に目を向けるだけで、選択の軸が少し変わるはずです。 未来を読むことに疲れた人よりも、「どう判断すればいいか分からない迷い」を抱えたまま仕事している人にこそ、静かに効いてくる本だと思います。
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